カンチャナブリーの旅

 

バンコクから西へ110kmの所に、自然に囲まれた街「カンチャナブリー」があります。

この街は映画「戦場に架ける橋」で舞台になったことで有名です。

たくさんの外国人観光客が訪れますが、実は日本との関係も深くその史跡も多く残ります。

見所はそれだけでなく、周囲には国立公園もありタイでも屈指の自然環境を有しています。

 

 

 

カンチャナブリーの歴史

 

カンチャナブリー市街を流れるクウェー川に沿ってカンチャナブリーの街があります。

人口は83万人程で、山や川や渓谷などの豊かな自然が彩る土地です。

カンチャナブリーと日本の関わりは、第二次世界大戦中に旧日本軍がタイからビルマ(現ミャンマー)方面への物資補給ルートとして、鉄道の建設を行ったことから始まりました。

この鉄道が歴史上有名な泰緬鉄道で、全長415kmもの距離をわずか1年数カ月で完成させました。

そして今でもこの泰緬鉄道の一部は利用されています。

泰緬鉄道の旅カンチャナブリーから列車に乗って橋や渓谷を巡る旅です。

今も残る線路の一部や橋は、旧日本軍が苦労して建設したといわれます。

また、そこには多くの犠牲があったことを思うと、風光明媚な列車の旅も感慨深いものがあります。

 

 

クウェー川鉄橋

 

 

第二次世界大戦中に旧日本軍が建設したクウェー川に架けられた橋で、映画「戦場に架ける橋」で舞台にもなりました。

現在の橋は戦後に修復されたものですが、アーチの部分などはオリジナルで当時の面影を残しています。

この橋は歩いて渡ることができ、途中列車が来ても避難場所がありますので、列車からこの様子をみることができます。

日本では考えられないことですが、これも泰緬鉄道の魅力の一つです。

 

 

チョンカイの切り通し

 

 

カンチャナブリーからナムトックに向かい、クウェー川を渡ると1時間ほどで「チョンカイの切り通し」が迫ってきます。

狭い岩の間を切り開いた線路を列車は走り続けます。

進行方向にはきれいな川が広がっているのと対照的に、右側は切り取った崖がスレスレにありますので手を伸ばせば届いてしまいます。

 

 

アルヒル桟道橋

 

 

最大の見どころが「アルヒル桟道橋」です。

クウェー川に沿って岸壁スレスレに300mに渡って架かるこの橋はなんと木造です。

ここは旧日本軍が最も苦労して建設したと言われています。

 

泰緬鉄道乗車方法

泰緬鉄道の始発は、バンコクのトンブリー駅です。

しかし、見所ははカンチャナブリーから先にありますので、クウェー川鉄橋近くのサパンクウェーヤイ駅から終点ナムトックまでの行程がおすすめです。

観光列車の場合は一つ先のサイヨークノイまで行きます。

この駅にはSLの展示や、周辺にはサイヨークの滝があり、たくさんの人たちが泳いだりピクニック気分で過ごしたりできる憩いの場です。

カンチャナブリーからナムトックまたはサイヨークノイまでは2時間ほどですが、カンチャナブリーに戻る際にはナムトックからのバスもあります。

 

 

連合軍共同墓地

 

 

泰緬鉄道の建設は5~6年かかると言われていましたが、旧日本軍は突貫工事で1年3カ月程で完成させました。

しかし、その裏には多くの犠牲を伴いました。

捕虜となった英米連合軍の兵士も、例外ではありません。

工事に動員され命を失った6,982人が連合軍共同墓地に埋葬されています。

墓地は明るく整備されて、訪れる人の気持ちを安らげてくれます。

静かな時間が流れるこの墓地を訪れると、改めて戦争の重さが感じられます。

 

拝観時間 : 8:00~18:00

アクセス : カンチャナブリー駅向かい側徒歩5分。

 

 

エラワンの滝

 

 

カンチャナブリーより北に65kmほど行った所に、エラワン国立公園があります。

そこにあるエラワンの滝はタイ国内でも、一番美しい滝といわれています。

全長1,500mの中で7段階に滝が分かれており、趣がそれぞれの滝で異なり、訪れる人を魅了します。

全ての滝を見て回る場合1時間半くらいかかり、途中から道が舗装されてないので、歩きやすい靴で出掛けましょう。

日本の滝はほとんど見学するだけですが、この滝では滝壺に飛び込むことができ、思い思いに楽しめます。

更衣室もありますので、水着を持参して思う存分楽しんでください。

 

入場料 : 300バーツ(約1,050円)

営業時間 : 8:00~16:30

アクセス : カンチャナブリーバスターミナルから北に65km。約1時間30分。(50分から1時間間隔で運行。)

 

 

ヘルファイアー・パス

 

 

カンチャナブリーのバスターミナルから1時間30分ほどの所に、周りを山に囲まれたヘルファイアー・パスがあります。

この名前を直訳すると「地獄の火の峠」となんとも恐ろしい名前ですが、この名前の由来には第二次大戦中の悲しい事実が秘められています。

泰緬鉄道の建設を急ぐ旧日本軍にとって、山に囲まれたこの地は最大の難所でした。

ジャングルを切り開き、切り立った崖や岩を削り、建設を進めましたが、次第に食料や物資が不足し、劣悪な生活環境に陥ります。

そしてコレラ・マラリアなどの大発生で、日本人兵士や連合軍の捕虜、タイ人も合わせて10万人以上の人たちが命を落としました。

今でこそこの地には博物館が設けられ、そこからヘルファイアー・パスを歩いて回ることができますが、デッキを降りたらもうそこは死の鉄道の跡地で、見えてくるのは想像を絶する悲劇の歴史です。

ミュージアムでは日本語対応の無料の案内テープを借りられますので、それを聞きながら見学するとより一層当時の状況が分かります。

ヘルファイアー・パスに向かう途中には検問があり、軍隊がバスの乗客のチェックをします。

これはミャンマー国境に近いためミャンマー人の不法入国者の取り締まりをしているだけで、パスポートを持っていればなんの問題もありません。

また、何もない所で下車することになりますので、乗車したら車掌さんにヘルファイアー・パスと伝えて20バーツ(約70円)ほどチップを払えば、下車する停留所に近づいたら教えてくれます

帰りは下車した所の向かい側に屋根の付いた建物がありますので、そこがカンチャナブリー行きのバスの停留場です。

 

ヘルファイヤーパスミュージアム

入場料 : 30バーツ

営業時間 : 9:00~16:00

アクセス : カンチャナブリーバスターミナルから84kmで1時間30分。(1時間間隔運行。)

 

 

まとめ

 

カンチャナブリーはバンコクからの移動にも時間がかかり、観光スポットも市街地や遠隔地に点在していますので、観光や自然を楽しむなら宿泊がおすすめです。

街の中心地はバスターミナル周辺ですが、クウェー川鉄橋東側に沿ってホテルやゲストハウスが点在して、レストランも多くあり観光にも便利です。

また、周辺の観光に便利なレンタサイクルのお店もありますので、宿泊はこの近辺がおすすめです。

 

カンチャナブリーまでのアクセス

バス : バンコク南バスターミナルからカンチャナブリー行き。(約3時間)

列車 : バンコクトンブリー駅からカンチャナブリーまたはサパンクウェーヤイ駅。(約2時間40分)

ロットゥバンコク(小型バス) : バンコクアヌサワリーから約2時間。

 

カンチャナブリーにはまだご紹介できていない魅力あるスポットがたくさんあります。

戦争により多くの人が犠牲になった土地ですが、その犠牲によって建設された鉄道や手つかずの大自然など、この地を訪れればまた違ったタイの思い出ができるでしょう。